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減らそうプラスチックの会

人間の母乳からマイクロプラスチックが初めて検出される

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人間の母乳からマイクロプラスチックが初めて検出される

 「Polymers」論文誌に掲載されたイタリアの科学者の研究によると、初めてヒトの母乳からマイクロプラスチックが検出されました。

 このパイロット的な単一センターでの観察型前向き研究では、34人の健康産婦から分娩後1週間に採取したヒト母乳試料をラマンマイクロスコープで分析し、34人の試料中26人の試料でマイクロプラスチック汚染が初めて発見されました。最も多く検出されたMPは、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンからなり、大きさは検出下限の2~12μmでした。これらのプラスチックは生産量が多いものです。ほとんどが破片で、球状のものは10%と少なく、フィルムや繊維はありませんでした。青、オレンジ、赤、茶などの色が大部分に付いていました。マイクロプラスチックのデータは、特定の患者のデータ(年齢、プラスチック化合物を含むパーソナルケア製品の使用、プラスチック包装の魚/貝、飲料、食品の消費)との関連で統計的に分析されましたが、有意な関係は見つかりませんでした。

 マイクロプラスチックは、主に摂取、吸入、経皮接触によって人間の体内に入り込みます。マイクロプラスチックは体内に取り込まれることによって引き起こされる潜在的な健康障害は、最も心配されるところです。しかし、このパイロット的研究では赤ちゃんへの影響は調べてはいないので、分かりません。

 母乳育児のメリットは、栄養の供給と免疫系の強化により、乳児にとって最も標準的な栄養であるなどのため、母乳に汚染性マイクロプラスチックが存在することによるデメリットよりもはるかに大きいので、母乳の授乳をやめることはしない方が良いと研究者は述べています。また、プラスチックボトルや調合乳を使用すると、赤ちゃんはより高いプラスチック含有量に触れる可能性があります。

 プラスチックの摂取を最小限に抑えるためには、プラスチック製の容器や化粧品(口紅など)の使用を避けることが挙げられます。代わりに、ガラスやステンレス鋼などの安全な素材で作られた容器を選びましょう。

 また、食品や飲料を購入する際には、プラスチック包装が最小限になるように選択することも重要です。可能な限りプラスチックフリーの包装材やバルク商品を選び、プラスチックで個別包装された製品を避けることが良いでしょう。

参考文献

Antonio Ragusa et al.,(2022) Raman Microspectroscopy Detection and Characterisation of Microplastics in Human Breastmilk

https://doi.org/10.3390/polym14132700

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