人間の前立腺からマイクロプラスチックを検出
マイクロプラスチックとは
マイクロプラスチックは5mm以下の大きさのプラスチック粒子です。マイクロメートル(1μm)は1mmの1,000分の1に相当します。これまでに、人間の血液や臓器などからもマイクロプラスチックが検出されています。
前立腺組織における初のマイクロプラスチック検出
2024年5月に『泌尿器学』誌で発表された研究は、前立腺組織におけるマイクロプラスチックの存在を初めて報告しました。研究者たちは、経尿道的前立腺切除術(TUR-P)を受けた12人の患者の前立腺組織を分析しました。
マイクロプラスチックの種類と特徴
その結果、12人中6人の患者からマイクロプラスチック粒子が検出されました。特定されたすべての粒子は26μm未満で、形状はペレット、球体、繊維状でした。4種類の異なるプラスチックが確認され、そのうちポリアミド(ナイロン6)が最も多く、3人の患者から検出されました。その他、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、ポリ(ジメチルシロキサン)が1人ずつの患者から発見されました。
前立腺腫瘍におけるマイクロプラスチックの調査
さらに、2024年9月に『eBioMedicine』誌で発表された別の研究では、前立腺腫瘍におけるマイクロプラスチックの存在が特に調査され、これらの発見が拡張されました。研究者たちは、走査型電子顕微鏡、レーザー直接赤外分光法、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法などの高度な技術を用いました。
腫瘍組織におけるマイクロプラスチックの濃度とサイズ
その調査の結果、腫瘍およびその周囲の前立腺組織の両方からマイクロプラスチックが見つかり、腫瘍サンプルにおいてより高濃度であることが確認されました。腫瘍およびその周囲の組織からは、ポリアミド、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)の3種類のマイクロプラスチックが検出され、ポリスチレンは腫瘍組織でのみ検出されました。マイクロプラスチックの濃度は、組織あたり181.0μg/gから290.3μg/gの範囲にあり、粒子のサイズは20μmから100μmで、腫瘍組織では50-100μmの大きな粒子がより多く見られました。
テイクアウト食品との関連性
また、この研究では、テイクアウト食品の消費とポリスチレンの検出量との間に強い正の相関関係が見られ、これが潜在的な曝露経路を示唆している可能性があると指摘されています。
プラスチック依存を減らす生活の推奨
マイクロプラスチックと人間の健康への影響に因果関係があるかどうかはまだ明らかではありませんが、プラスチックへの依存をできるだけ減らす生活が推奨されています。特に、プラスチック包装やペットボトル、プラスチック製のカップや弁当容器の使用を避けることが望ましいとされています。
参考文献
The first reported values of microplastics in prostate Published: 14 May 2024
Erhan Demirelli et al. ,BMC Urology volume 24, Article number: 106 (2024)
https://bmcurol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12894-024-01495-8
Identification and analysis of microplastics in para-tumor and tumor of human prostate
Chenyao Deng et al., the journal eBioMedicine Published September 27, 2024
https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964(24)00396-7/fulltext
DOI: 10.1016/j.ebiom.2024.105360
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