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減らそうプラスチックの会

マイクロプラスチックと大腸がんリスクの関係についての研究

目次

非常に権威があり、国際的に高い評価を受けているトップクラスの学術誌に掲載された最近の論文を紹介します。

この研究は、人間の糞便に含まれるマイクロプラスチックの量と、大腸がんになるリスクとの関連を調べたものです。マイクロプラスチックは、環境中に広く存在し、私たちの体に入り込んでいることがわかっていますが、それが健康にどう影響するかはまだ解明されていませんでした。

この論文は、糞便中のマイクロプラスチック濃度と大腸がんリスクの関係を科学的に調査した、世界で初めての疫学調査です。

研究の方法

中国の医療機関で、大腸がんの患者さん258名と、健康な方493名に協力してもらい、糞便のサンプルを採取しました。

これらのサンプルを特殊な機械(レーザー赤外線イメージング分光計)を使って分析し、糞便1グラムあたりにどれくらいのマイクロプラスチックが含まれているかを正確に測定しました。その後、統計学的な手法を用いて、マイクロプラスチックの量と大腸がんのリスクにどのような関係があるかを詳しく調べました。

明らかになったこと

主な結果は以下の通りです。

  • 大腸がん患者の糞便には、健康な方の糞便と比べてマイクロプラスチックが有意に多く含まれていました
  • マイクロプラスチックの濃度が最も高いグループは、最も低いグループと比べて、大腸がんのリスクが11.3倍も高くなっていました
  • この関連性は特に女性や、香辛料や高脂肪食をよく摂取する人の間で顕著に見られました。

研究の結論と今後の課題

この研究は、糞便中のマイクロプラスチックの量が多いほど、大腸がんのリスクが高まる可能性があるという初めての疫学的な証拠を示しました。

ただし、この研究は、マイクロプラスチックが大腸がんの「原因」であると断定するものではありません。マイクロプラスチックと大腸がんのリスクの間に、なぜこのような関連が見られるのか、その詳しいメカニズムをさらに研究していく必要があります。この発見は、マイクロプラスチックがヒトの健康に与える影響を理解する上で、非常に重要な一歩となります。

参考文献

Xu J, Qu J, Jin H, Mao W. Associations between microplastics in human feces and colorectal cancer risk. J Hazard Mater. June 28, 2025. doi:10.1016/j.jhazmat.2025.139099

https://doi.org/10.1016/j.jhazmat.2025.139099

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