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減らそうプラスチックの会

地下鉄のPM2.5中のマイクロプラスチックが発がん性金属を運ぶ―健康リスクを示す最新研究

地下鉄の駅
目次

地下鉄空気に潜む“見えない汚染”が、肺の奥まで届く仕組みを解明―

1. 研究の背景

韓国の研究チームが、“地下鉄の空気中に含まれるマイクロプラスチック(MPs)”が、発がん性のある金属(Cr・Ni など)を運ぶ“運び屋”になっていることを明らかにしました。
これにより、短時間の地下鉄利用でも、毒性のメカニズムがすでに働き始めることが確認されており、日常的な累積暴露によって呼吸器疾患や発がんリスクが高まる可能性が示されています。

2. 地下鉄の空気は屋外より汚れていた

研究では、韓国ソウルの地下鉄駅(地下・半地下)と屋外の空気を比較しました。

  • PM10(比較的大きい粒子):屋外の 1.6 倍
  • PM2.5(非常に細かい粒子):屋外の 4.4 倍

さらに、

  • マイクロプラスチックと有害金属は、PM10の76%を占め、屋外の4.8〜6.4倍の濃度
    という高い汚染が確認されました。

3. 微小粒子(PM2.5)は肺の奥まで到達

PM2.5は非常に小さいため、

  • 肺への沈着率は73〜78%
    と、PM10の約2倍でした。

特に、PM2.5にくっついたマイクロプラスチックは88〜90%が肺に沈着しやすいことが分かりました。

4. マイクロプラスチックは“金属を引き寄せる”

マイクロプラスチックは表面に負の電荷を帯びているため、

  • 発がん性金属(Cr・Ni など)を強く吸着
  • 肺の表面を守る「肺サーファクタント」を乱す
  • 酸化ストレスや炎症を引き起こす

といった悪影響をもたらします。

研究では、Cr と Ni が全体の発がんリスクの90%を占めることも判明しました。

5. 地下鉄利用者の健康リスク

研究チームは、PM2.5に付着した金属が

  • 全体の吸入がんリスクの67〜84%を占める
    と評価しました。

さらに、

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD
  • 肺がん
    などのリスクが高まる可能性が示されています。

6. なぜ金属がプラスチックにくっつくのか

計算科学(DFT解析)によると、

  • マイクロプラスチックと金属の間には強い“ファンデルワールス力”が働く
    ため、金属がプラスチック表面にしっかり吸着することが分かりました。

7. 研究が示すこと

この研究は、
「地下鉄の空気中のPM2.5に付着したマイクロプラスチックが、有害金属を肺の奥まで運び、健康リスクを高めている」
という新しい視点を示しました。

地下鉄は多くの人が毎日利用する空間であり、
マイクロプラスチックと金属の組み合わせが、従来考えられていた以上に危険である可能性が浮き彫りになっています。

注釈

  • PM10 / PM2.5:大気中の粒子状物質。数字は粒径(μm)。小さいほど肺の奥まで入りやすい。
  • Cr(クロム)・Ni(ニッケル):一部の形態は発がん性がある金属。
  • 肺サーファクタント:肺の表面を保護し、呼吸を助ける物質。
  • DFT(密度汎関数理論):分子間の相互作用を計算する手法。

文献

Roy D., Murmu M., Mandal S., Banerjee P., Lee M., Park J.

Microplastics bound to fine particulate matter in subway air: A pathway for toxic metal transport to enhanced carcinogenicity in human lungs.

Journal of Hazardous Materials, Vol. 501, 1 January 2026, Article 140721.

https://doi.org/10.1016/j.jhazmat.2025.140721

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