プラスチックリサイクル施設が大量のマイクロプラスチックを放出
英国の研究者たちは、年間22,680トンの混合プラスチック廃棄物を受け入れる英国の最新鋭プラスチックメカニカルリサイクル施設からの洗浄排出水中のマイクロプラスチックを調べました。マイクロプラスチックは5mm以下のプラスチック粒子を言います。
メカニカルリサイクル(マテリアルリサイクルとも言う)は、廃プラスチックを選別したあと粉砕、風力分離、洗浄、乾燥などを行います。廃プラスチックの汚れを取り除くために、洗浄は不可欠です。洗浄の際にマイクロプラスチックが洗浄排水中に含まれます。
この施設では未処理のリサイクル洗浄水には、約600万~1億個/m3のマイクロプラスチックが含まれていると推定されました(蛍光顕微鏡分析による)。このプラスチックリサイクル施設では洗浄排水をフィルターでろ過することを検討しています。50 µm 粒子ろ過装置の設置によりマイクロプラスチック汚染が軽減され、5µmを超えるマイクロプラスチックの大部分を除去し、40µmを超えるマイクロプラスチックに対しては高い除去効率を示しました。しかし、5µm未満のマイクロプラスチックは一般的にろ過で除去されず、その後排出され、年間59~1184トンが排出される可能性があります。放出される5µm未満のマイクロプラスチックは受け入れ廃プラスチックの0.3~5.2%に相当します。5µm未満のマイクロプラスチックは人間や動物、植物に有害な影響を与える可能性があります。
同様に、中国の 3 つの プラスチックリサイクル施設 の排水サンプルが Guo らによって調べられ (2022)、また、 ベトナムの 3 つの プラスチックリサイクル施設の排水が鈴木らによって調べられました(2022) 。
さらに、プラスチックリサイクル施設の大気がマイクロプラスチックで汚染されていることもわかりました。
プラスチックをメカニカルリサイクルすると大量のマイクロプラスチックを放出することが分かりました。プラスチックのサーキュラーエコノミーを進めるとマイクロプラスチックの大量汚染が進みます。
したがって、私たちは、プラスチック製品を買わない、プラスチックで包装された商品を選ばない、プラスチックを使わない、どうしても使う場合はリユースすることによりプラスチックの消費を減らすことが必要です。
参考文献
Erina Brown etal.,The potential for a plastic recycling facility to release microplastic pollution and possible filtration remediation effectiveness. Journal of Hazardous Materials Advances 2023; 10: 100309.
https://doi.org/10.1016/j.hazadv.2023.100309
G Suzuki et al. Mechanical recycling of plastic waste as a point source of microplastic pollution. Environmental Pollution 2022; 303: 119114.
https://doi.org/10.1016/j.envpol.2022.119114
Y Guo et al. Ignored microplastic sources from plastic bottle recycling. Science of The Total Environment 2022; 838(2): 156038.