プラスチック添加剤が少子化に関係する?
名古屋市立大学の研究チームは、環境省が進めているエコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)で、妊婦の市販弁当と冷凍食品の摂取と死産の関連を明らかにしました。
大阪市立環境科学研究所などの研究チームは市販の弁当を電子レンジで加熱すると、弁当容器から食品にプラスチック容器に含まれていた添加剤及びその分解化合物などが移行することを調べました。その結果、移行する物質には内分泌攪乱物質も含まれていました。耐熱性の弁当容器には一般にポリプロピレンが用いられ、酸化防止剤などの様々な添加剤が添加されています。
ワシントン州立大学のパトリッシア・ハント博士は、ビスフェノールA(BPA)が人間の卵子の発達を阻害することを見つけました。ビスフェノールAの代替物質のビスフェノール類でも同様の内分泌攪乱作用が指摘されています。このビスフェノール類も酸化防止剤です。
名古屋市立大学の研究では因果関係の研究まではされていませんが、ビスフェノール類などの内分泌攪乱作用のある添加剤が市販の弁当や冷凍食品を電子レンジで加熱した際に、食品に移行した可能性が考えられます。
プラスチックの添加剤などの化学物質の食品への移行は、通常の状態でも起きますが、温度が高かいほどしやすくなりますので、プラスチック容器に入れたまま電子レンジで加熱するのは避け、ガラスや陶磁器に移して加熱することをおすすめします。また、できるだけプラスチックではなく、金属、ガラス、陶磁器、木などを使ってプラスチックフリーの生活をしてください。
参考文献
妊婦の調理済み食品の摂取頻度と妊娠帰結との関連について
https://www.nagoya-cu.ac.jp/media/20220419-1-1.pdf
Hazuki Tamada et al., Impact of Ready-Meal Consumption during Pregnancy on Birth Outcomes: The Japan Environment and Children’s Study. Nutrients 2022, 14(4), 895; https://doi.org/10.3390/nu14040895
電子レンジ加熱による弁当容器から食品への酸化防止剤等の移行
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikatsueisei/49/6/49_6_357/_pdf
The Effects of Bisphenol A on Embryonic Development
https://embryo.asu.edu/pages/effects-bisphenol-embryonic-development
Bisphenol S negatively affects the meotic maturation of pig oocytes