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減らそうプラスチックの会

EUのPPWR(包装・包装廃棄物規則)とは?2026年8月適用開始の要点

EU旗を背景に、紙・ガラス・段ボールなど複数のリサイクル可能な包装材が並んでいる写真。

減らそうプラスチックの会 編集部 2026年7月29日公開

EUで包装・包装廃棄物規則(PPWR:Packaging and Packaging Waste Regulation)が発効しました。食品に限らずあらゆる包装が対象となり、多くの規定は2026年8月12日から適用されます。廃棄削減・再利用・リサイクルの3本柱を掲げるこの規則は、日本からの輸出品にも影響が及ぶ内容です。

目次
  • EUのPPWR(包装・包装廃棄物規則)は2025年2月11日に発効し、原則としてその18か月後の2026年8月12日から適用されます。
  • 対象は食品包装に限らず、EU域内で流通するほぼすべての包装及び包装廃棄物です。
  • 2030年までに、EU域内で流通する包装を100%リサイクル可能にすることが目標として掲げられています。
  • 日本酒や焼酎、ワインなどは、再利用義務やデポジット・リターン・システム(保証金返還システム)の対象から除外されました。
  • 規則に違反した場合の罰則ルールは、2027年2月12日までに各加盟国が整備する予定です。

在EU日本政府代表部は、EUのPPWRについての概要資料を公表しています。

規則の成立と適用時期

資料によりますと、欧州委員会は2022年11月にPPWR案を提案し、2024年3月にEU理事会・欧州議会との間でトリローグ(三者協議)による暫定合意に至りました。2024年12月に正式に可決され、2025年1月22日に官報へ掲載(EU規則2025/40)、同年2月11日に発効しています。個別に適用時期が定められた規定を除き、発効から18か月後の2026年8月12日から本格的に適用される予定です。

提案の背景にある課題

提案の背景としては、EU域内で包装廃棄物の量が増え続けている点が挙げられています。資料によれば、EU域内では1人当たり1日0.5キロの包装廃棄物が排出されており、都市の固形廃棄物の3分の1を包装廃棄物が占めています。2021年の包装廃棄物量は8,400万トンで、2010年比24%の増加となりました。このままではリサイクル率の伸びを廃棄物量の増加が上回り、2030年には包装廃棄物がさらに19%増加する見込みだとされています。また、紙の50%、プラスチック使用量の40%が包装に利用されており、海洋ゴミの半分は包装材が占めるという指摘もあります。

掲げられている目標と数値

こうした背景を踏まえ、PPWRは①包装廃棄物の発生削減、②費用対効果の高い包装によるサーキュラーエコノミーの促進、③EU域内での包装規制の統一、という3つの目標を掲げています。具体的な数値目標としては、2018年比で2030年までに包装廃棄物を5%、2035年までに10%、2040年までに15%削減することが定められました。また、素材別のリサイクル目標も設定されており、例えばプラスチック包装は2025年に50%、2030年に55%のリサイクル率を目指すとされています。

持続可能性要件と買い物袋の削減

規則の柱の一つである持続可能性要件では、有害物質の使用規制、リサイクル可能な包装、プラスチック包装への最低リサイクル含有割合、堆肥化可能な包装、包装の最小化など、7項目が定められました。これらの要件を満たさない包装は、EU域内での上市が禁止されます。さらに、使い捨てプラスチック製の買い物袋についても、加盟国に削減措置を求めており、2025年12月31日までに年間1人当たりの消費量が40枚を超えなければ、削減が達成されたとみなされます。

なぜ重要なのか(日本への示唆を含む)

PPWRは食品に限らず包装全般を対象としているため、EUに製品を輸出する日本企業にとっても包装の仕様や表示方法の見直しが必要になる可能性があります。特に注目されるのが、再利用義務やデポジット・リターン・システムをめぐる経緯です。資料によりますと、2022年11月の欧州委員会の当初案では、日本酒を含む幅広い飲料に再利用義務を課す内容が含まれていました。しかし2024年3月の暫定合意では、日本酒や焼酎、ワインなどが対象外とされ、これらの飲料は瓶の再利用義務やデポジット制度の対象から外れています。この経緯は、日本の外交当局や業界団体による働きかけが背景にあったと報じられています。

一方で、リサイクルが難しいとされる多層フィルム包装など、今後の運用次第で日本の食品・飲料メーカーが対応を迫られる可能性がある分野も残されています。EUの規制動向は、他地域の政策形成にも影響を与えることがあるため、日本国内の包装をめぐる議論を考える上でも参考になる事例だといえます。

PPWRには、今後の委任規則・実施規則の制定を待って詳細が確定する項目が数多く残されています。例えば、リサイクル可能性の判定基準や性能等級(A・B・C)の詳しい計算方法は、2028年1月1日までに定める委任規則で決定される予定です。また、多層フィルムのように、現時点でリサイクルが技術的に難しいとされる包装材については、2030年以降も市場に出せるかどうかが今後の規則制定の内容に左右される見通しです。

罰則についても、2027年2月12日までに加盟国がそれぞれのルールを整備する予定であり、実際の運用がどうなるかは今後の動向を注視する必要があります。資料の内容はあくまで令和7年1月時点の更新情報に基づくものであり、今後の委任規則・実施規則の制定によって詳細が変わる可能性がある点にも留意が必要です。

Q. PPWRはいつから全面的に適用されますか? A. 2025年2月11日に発効し、個別に適用時期が定められた規定を除き、18か月後の2026年8月12日から適用される予定です。ただし、要件によっては2030年や2035年など、さらに先の時期から適用されるものもあります。

Q. 日本酒はPPWRの再利用義務の対象になりますか? A. 2024年3月の暫定合意により、日本酒や焼酎などの蒸留酒、ワインは、瓶の再利用義務やデポジット・リターン・システムの対象から除外されています。

Q. PPWRの対象は食品包装だけですか? A. いいえ。資料によりますと、食品に限らずEU域内で流通するほぼすべての包装及び包装廃棄物が対象とされています。

EUのPPWR(包装・包装廃棄物規則)は、廃棄削減・再利用・リサイクルを柱として、食品に限らずあらゆる包装を対象とする規則です。2025年2月に発効し、多くの規定が2026年8月12日から適用される見込みとなっています。日本酒などが再利用義務の対象から除外されるなど、日本への影響を踏まえた調整も行われてきました。今後は委任規則・実施規則の制定を通じて詳細が具体化していく見通しであり、EUに製品を輸出する事業者にとっては継続的な情報収集が重要だといえます。

包装のリサイクル可能性や再利用のしくみは、消費者の日常的な選択とも関わっています。買い物の際に過剰包装を避けたり、リサイクルしやすい素材の製品を選んだりすることも、こうした国際的な規制の動きを後押しする一つの方法だといえるかもしれません。

【PPWR】EUの包装・包装廃棄物規則(Packaging and Packaging Waste Regulation)の略称。包装全般の廃棄物削減を目的とした規則です。

【デポジット・リターン・システム】飲料容器などの購入時に預り金(デポジット)を上乗せし、容器を返却すると預り金が戻ってくるしくみです。

【拡大生産者責任(EPR)】製品を製造・輸入する事業者が、廃棄物の回収や処理にかかる費用の一部を負担する考え方です。

【発表資料】 ・在EU日本政府代表部 ・「EU包装・包装廃棄物規則(PPWR)の概要」 ・在EU日本政府代表部(令和6年5月作成、令和7年1月更新) ・URL:https://www.eu.emb-japan.go.jp/files/100788023.pdf

本記事はEU包装・包装廃棄物規則に関する公的資料の内容を要約したものであり、法的助言を目的としたものではありません。個別の対応については、専門家や関係機関にご確認ください。

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