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減らそうプラスチックの会

猛暑のペットボトル水、車内や屋外での放置は安全か専門家に聞く

光の当たる車の座席に置かれた透明な水のボトル数本を写した写真

減らそうプラスチックの会 編集部/2026年9月2日公開

気温が上がる夏、車の中や屋外にペットボトルの水を置きっぱなしにする機会が増えます。米誌TIME(2026年6月26日)は、高温・直射日光下でペットボトル(PET製)から金属アンチモンやBPA(ビスフェノールA)などの化学物質が水に移行する可能性があると、食品包装分野の専門家への取材をもとに報じました。健康影響の大きさはまだ十分に分かっていないものの、専門家は保管方法に注意するよう呼びかけています。

目次
  • 高温・直射日光の環境では、PETボトルから金属アンチモンやBPAなどの物質が水へ移行しやすくなると、複数の研究者が指摘しています。
  • 移行する物質の量や健康への影響は、現時点では十分に解明されていません。
  • 業界団体である国際ボトルウォーター協会(IBWA)は、室温以下・直射日光を避けた保管を消費者に呼びかけています。
  • 取材を受けた研究者自身は、日常的に金属製のボトルを使用しているとしています。

TIMEの記事は、食品包装の非営利研究機関フードパッケージングフォーラム(Food Packaging Forum)のビルギット・ゴイケ氏、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)のオルヴェン・マーティン氏、ブルネル大学ロンドン(Brunel University of London)のエレニ・イアコヴィドウ氏という3人の研究者への取材をもとにまとめられています。

ゴイケ氏は、移行速度と温度には相関関係があるとする2008年の研究に言及しています。またイアコヴィドウ氏らは2022年に、PETボトルから飲料へ移行しうる物質について既存の研究をレビューした論文(査読論文)を発表しており、この論文では、抗酸化剤としてもボトル製造時の触媒としても使われる金属アンチモンや、内分泌かく乱物質として知られるフタル酸エステルなどが移行する可能性が示されています。

記事によれば、こうした物質が実験で移行し始める目安は、一部の物質でおよそ20℃(68°F)前後、より多くの物質ではおよそ30〜40℃(86〜104°F)以上とされています。マーティン氏は、水以外の内容物(トマトジュースなど)や油分を含む食品でも、成分によって移行しやすさが変わると説明しています。

一方、業界団体である国際ボトルウォーター協会(IBWA)は、消費者向けのファクトシート(発表資料)で、ボトル水を室温以下・直射日光を避けた場所で保管するよう呼びかけているとTIMEは報じています。これは業界団体としての公式な推奨事項であり、査読を経た研究結果とは性質が異なる情報として区別する必要があります。

日本でも夏場は熱中症対策として、車内や屋外にペットボトルの水を持ち歩く場面が多くあります。水道水の安全性は比較的高いとされる日本ですが、外出先での飲料水としてペットボトル水を選ぶ人は少なくありません。今回報じられた知見は、保管温度や置き場所を見直すきっかけとして、日本の読者にとっても参考になると考えられます。

また、使い捨てプラスチックの環境負荷という観点に加え、保管方法による健康リスクの側面が示されたことは、プラスチック容器全般の使い方を見直す材料としても意義があります。

TIMEの記事内でも、移行した化学物質が人体に蓄積した場合の影響や、複数の化学物質が同時に存在した場合の相乗的な影響については、まだ十分な研究知見が得られていないと専門家自身が述べています。特定の健康被害と直接結び付けられる段階には至っていないため、過度に不安視するのではなく、リスクを下げる工夫(冷暗所での保管など)を実践することが現実的な対応と見込まれます。

今後、移行する化学物質の蓄積影響や複合影響についての研究が進むことで、より具体的な安全基準や推奨事項が示される可能性があります。

Q. ペットボトルの水を車の中に置いておくのは危険ですか? A. TIMEの記事によれば、高温・直射日光にさらされたPETボトルからは化学物質が水へ移行しやすくなるとされています。ただし、それによる具体的な健康影響はまだ十分に解明されておらず、専門家は「できるだけ避けた方がよい」という予防的な観点から注意を呼びかけています。

Q. どのくらいの温度から注意が必要ですか? A. 記事で紹介された研究では、一部の物質はおよそ20℃前後から、より多くの物質はおよそ30〜40℃以上で移行しやすくなるとされています。

ペットボトルの水は、できるだけ涼しく日の当たらない場所で保管するという選択肢があります。また、繰り返し使える金属製やガラス製のボトルに切り替えることも、プラスチックの使用量そのものを減らす手段のひとつです。

【PET(ポリエチレンテレフタレート)】使い捨て飲料ボトルなどに広く使われるプラスチックの一種。食品用容器としてリサイクルできる数少ないプラスチックのひとつです。

【BPA(ビスフェノールA)】一部のプラスチック製品に含まれる化学物質で、内分泌かく乱作用が指摘されている物質のひとつです。

【アンチモン】PETボトルの製造過程で触媒として使われる金属で、高温下で水へ移行することが研究で報告されています。

【内分泌かく乱物質】体内のホルモンの働きに影響を与える可能性がある化学物質の総称です。

【報道記事】

  • Veronique Greenwood「Is It Safe to Leave Bottled Water in the Sun?」TIME、2026年6月26日 https://time.com/article/2026/06/25/bottled-water-sun-plastic/

【査読論文】

  • Gerassimidou, S. et al.「Unpacking the complexity of the PET drink bottles value chain: A chemicals perspective」Journal of Hazardous Materials, Vol. 430, Article 128410、2022年3月 doi: 10.1016/j.jhazmat.2022.128410 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35295000/
  • Westerhoff P, Prapaipong P, Shock E, Hillaireau A. Antimony leaching from polyethylene terephthalate (PET) plastic used for bottled drinking water: Water Research 2008; 42(3): 551–556 DOI: 10.1016/j.watres.2007.07.048   ScienceDirect: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0043135407005246

【発表資料】

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本記事は医学的助言を目的としたものではありません。

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