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減らそうプラスチックの会

フィリピンの量り売り文化、脱プラへ 自治体主導の詰め替え店

ガラス瓶に量り売りの調味料が並ぶ、フィリピンの詰め替え専門店の店先の様子。

減らそうプラスチックの会 編集部 2026年8月5日公開

フィリピンでは、使い切りサイズの「サシェ」の廃棄が大きな問題になっています。そんな中、自治体(バランガイ)が2024年7月に詰め替え専門店を開きました。店の名前は「Tingi Tindahan」です。住民が容器を持ち込んで、しょうゆや油、洗剤などを量り売りで買えます。英ガーディアン紙の取材記事(2026年7月31日公開)をもとに紹介します。

目次
  • フィリピン・マラボン市の地区(ポトレロ)で、自治体が詰め替え専門店を開きました。
  • この国では、1日に約1億6,400万枚のサシェが使われているとされます。ただしこれは推計値です。
  • 店の運営者によると、開店から1年で少なくとも14万5,000枚のサシェを減らせたそうです。この数字は自己申告です。
  • 専門家は、住民の努力だけでなく、企業側の責任も大切だと指摘しています。

詰め替え店「Tingi Tindahan」

Tingi Tindahanは、フィリピンで昔からある「tingi(ティンギ)」という少量売りの習慣を活かした店です。ガラス瓶に入った調味料や油を、持ってきた容器に注いでもらう仕組みです。乾いた食品は量って売っています。子ども向けのお菓子も、プラスチックではなく紙の袋に入れて渡しています。

なぜこの店が生まれたのか

店を作ったのは、地区環境委員会の副委員長を務めるケイト・ノラスコ氏です。台風の季節になると、排水路がプラスチックごみで詰まります。そのため、ノラスコ氏は強い問題意識を持っていました。そこで、空いていた場所を使って店を開いたのです。

開店当初、住民は戸惑いました。サシェのない生活に慣れていなかったからです。しかし、値段がスーパーより安いことがわかると、少しずつ利用者が増えていきました。

数値の扱いに注意が必要です

この記事では、いくつかの数値が紹介されています。しかし、それぞれの出どころには注意が必要です。

まず、「フィリピンでは年間270万トン以上の廃プラスチックが出る」という数値があります。この数字の元データは、記事内で詳しく示されていません。また、「1日に約1億6,400万枚のサシェが使われる」という数値も、記事の中で「一部の推計」とされています。つまり、確定した統計ではありません。

さらに、「開店から1年で14万5,000枚のサシェ廃棄を減らせた」という数字も、店を運営するノラスコ氏らの自己申告です。第三者が確認した結果ではありません。そのため、これらの数字は「参考情報」として受け取るのがよいでしょう。

企業の責任という視点も

海洋プラスチックを研究するデオ・フローレンス・オンダ氏は、別の視点を示しています。オンダ氏によると、ごみの問題は住民だけの責任ではありません。サシェを作って利益を得ている企業にも、責任があるという考え方です。

実際、フィリピンでは2022年に新しい法律ができました。この法律は、大きな企業に対して、自社が作った容器包装ごみを回収するよう求めるものです。違反した場合は罰金があります。しかし、この法律がしっかり守られているかというと、まだ課題が残っているとされています。

この事例には、いくつかの大切なポイントがあります。まず、自治体が主導して、リユースや詰め替えの仕組みを作った点です。また、値段が安いため、収入の少ない世帯でも利用しやすい点も特徴です。この2点は、当会が大切にしている考え方と重なります。

一方で、日本とフィリピンでは事情が違います。日本では、サシェのような使い切り袋の文化は、フィリピンほど広くありません。そのため、この事例の数値をそのまま日本に当てはめることはできません。ただし、「自治体が小さな取り組みから始め、住民に根付かせる」という進め方は、参考にできる部分があるでしょう。

ノラスコ氏自身も、この店だけでプラスチック問題が解決するとは考えていません。しかし、政策が整うのを待つのではなく、今できることから始める姿勢を示しています。今後は、他の地区にも同じような店が広がることが期待されています。ただし、実際に広がるかどうかは、これからの状況によって変わってきます。

また、企業による容器包装の回収についても、法律はあるものの、実行がまだ十分ではないという声があります。そのため、住民の努力に加えて、企業や制度の側からの取り組みも、今後の課題として残っています。

フィリピン・マラボン市の事例は、自治体が始めた詰め替え店が、収入の少ない世帯にも根付いてきた例です。ただし、記事に出てくる数値は推計や自己申告であり、確定した統計ではありません。プラスチックごみの問題を減らすには、住民の努力だけでなく、企業や制度の側の取り組みも必要だといえるでしょう。

日本でも、量り売りや詰め替えができるお店を選ぶという方法があります。まずは、近くにリフィルステーションがあるか、探してみることから始められます。

【サシェ】洗剤や調味料などを、1回分ずつ小さな袋に入れた製品です。安くて便利ですが、リサイクルが難しく、ごみになりやすいとされています。

【バランガイ】フィリピンにおける、いちばん小さな行政の単位です。日本の町内会に近い区分です。

【報道記事】 ・Jhesset Enano ・「Soy sauce refills and reused jars: can Philippines’ tingi culture hold back deluge of plastic waste?」 ・The Guardian ・2026年7月31日 ・https://www.theguardian.com/environment/2026/jul/31/philippines-tingi-zero-waste-shop-reuse-refill-plastic

Quezon市・San Juan市:Kuha sa Tingi(Greenpeace)

Greenpeace Philippines、Quezon City政府、Impact Hub Manilaが共同で立ち上げた、サリサリストア(近隣の小規模商店)を拠点とする詰め替え販売プログラムです。2022年11月にSan Juan市でパイロット開始し、2023年6月にはQuezon市でも同様のパイロットが開始されました。2022年の開始から2024年末までに2,000店舗以上に拡大し、約390万個のサシェ(小袋)使用を回避したとされています。

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